理事長(管理者)をしています。携帯電話会社からマンションの屋上に携帯電話基地局を設置させてほしいとの申し入れがありました。設置に当たっては(屋上を借り受けるための)賃借料も支払っていただけるとのことで、理事会としても前向きに検討したいと考えていますが、管理組合としてはどのような手続きが必要ですか。
携帯電話基地局をマンション共用部分である屋上に設置する行為は、「共用部分の変更」に当たります。
区分所有法第17条(共用部分の変更)では、「共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く)は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議で決する。ただし、この区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる」と定めています。
つまり、「共用部分の変更」は原則として、特別決議を要しますが、共用部分の形状や効用が著しい変更を伴わない場合には、区分所有者及び議決権の過半数による集会の決議(普通決議)でも良いと定めているのです。
本問のケースでは、分譲マンションの屋上に携帯電話基地局を設置することが、共用部分の形状または効用の著しい変更を伴うことなのか、また、そのことが専有部分の使用に特別の影響を与えて著しい変更を伴うことなのかが問題となります。
一般的には基地局を設置したとしても建物の外観に著しい影響を与えているとはいえず、過去の判例でも、「基地局の設置は屋上の形状や効用に著しい変更が生じるとはいえず、また専有部分に特別な影響を与える事実はないとし、共用部分の管理に関する事項として普通決議で足りる。」との判断が下されたものがあります(平成21年2月28日 札幌高裁)。
しかし、設置される基地局の荷重によっては、建物の構造に悪影響を与える可能性もありますので、事前に専門家に相談し、建物の構造上問題ないことを確認した上で総会の議案とするのがよいでしょう。
編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
2012年5月掲載(2025年2月更新)