理事長をしています。築三年目のマンションで屋上防水の不具合から最上階の住戸に雨漏りが生じました。マンションの事業主に補修工事を依頼しましたが対応してくれません。雨漏りの補修工事は管理組合が行わなければならないのでしょうか。
新築マンションの売買の場合で、瑕疵がマンションの構造耐力上主要な部分または雨水の浸入を防止する部分として政令で定めるものであるときは、マンション引き渡しのときから一〇年間は事業主が瑕疵担保責任を負うことが定められています。また、これに反する特約で買主に不利なものは無効とされています(住宅の品質確保の促進等に関する法律第九四条)。
本問の場合、屋上防水の不具合による雨漏りは、同法により事業主側が一〇年間の瑕疵担保責任を負う必要があります。
ここで注意が必要なことは「引き渡しから一〇年経過すれば、瑕疵担保による補修請求権や損害賠償請求権の消滅時効が成立する」ということです。
瑕疵担保責任の消滅時効の成立を免れるための有効な措置としては次の方法があります。
- (1)事業主に、補修の義務があることを認めてもらう。
- (2)法的手続き(訴訟や調停など)による補修工事の実施を要求する。
などです。注意すべき点は、内容証明郵便についてです。内容証明郵便を送るだけでは、時効は中断しません。内容証明郵便発送後、六カ月以内に法的手続きをとることで、発送時にさかのぼって時効を中断することができます。
マンションは多くの区分所有者にとって終の棲家です。長期にわたって資産価値を維持し快適な住環境を保つことが大切です。
まずは事業主に誠意ある対応をお願いしていきましょう。
編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
2010年4月掲載