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管理組合の損害保険を契約する保険代理店について

監事です。管理組合が契約している損害保険が満期になるため、理事会で契約する損害保険を検討していますが、理事長(管理者)が自分の親戚が経営している保険代理店で契約してほしいと言われています。問題はないのでしょうか。

 管理組合は、日常の管理業務や不意の事故への対応を行い、区分所有者から預かった資金の運用を行います。そのためには、管理業務などに関して第三者との契約を結ぶこともあり、契約は理事長の名で行うことになり、このような契約の中に、小規模な工事請負契約や本問の保険契約などがよくある契約です。
 そこで、管理組合の役員はどのような立場からこれらの契約を成立させる必要があるかといえば、個人的な立場からではなく、管理組合という組織の、公的な立場から管理を行う必要があるので、契約を結ぶ場合には、区分所有者全体の利益を考えなければなりません。マンション標準管理規約の改定(第37条の2 利益相反の防止)があったように、取引を行うには理事会の承認が必要であり、役員の地位を個人的立場で利用する場合には、区分所有者から私的な利益を得ているとの疑いの目で見られる可能性があり、避けるべきでしょう。
 なぜなら、理事長の親戚の保険代理店で契約すること自体、所有者全体の利益のためではなく、親戚の保険代理店の利益のために契約したとの疑念を持たれるからです。
 いくつかの保険代理店(例えば、従前の代理店、その他の代理店)の相見積もりの提出を受け、金額や契約内容、保険事故の際の対応力などを比較、検討の上、最良と思われる代理店と契約を結ぶのがよいでしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2006年6月掲載(2025年2月更新)

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