当管理組合では預金口座の名義はすべて「○○○○管理組合理事長△△△△」となっていますが、もし理事長が破産した場合どうなるのでしょうか。
管理組合は、区分所有者から管理費や修繕積立金などを徴収したり、各種費用を支払う業務を行うため、銀行をはじめとする金融機関に預金口座を開設しています。
通常、ほとんどの管理組合は法人化していないため、法人格のない団体となり、預金口座は「○○○○管理組合理事長△△△△」という名義で各種取り引きを行うこととなります。
この場合、この預金権利者(預金者)は管理組合なのかそれとも理事長たる個人なのか考えてみます。
金融機関の実務上、団体の預金口座を開設する場合には団体の地位を示す肩書きを付して個人名義の口座開設を認めています。その際に、管理組合の場合「管理規約」・「名義人の実在を証明するもの」・「組合と名義人の関係を示す書類など」といった資料を要求されます。
金融機関のこのような口座開設に当たっての処理の仕方を見れば明らかなように、金融機関はあくまでも「管理組合」を預金権利者として扱っており理事長たる個人のものとしては扱っていません。以上のことにより、この預金権利者は管理組合と考えられます。
万が一、管理組合の預金が差し押さえられた場合は、差し押さえは第三者の財産に対したものとなりますので、集会の決議または規約の定めに基づいて、管理者が管理組合を代表して民事執行法第三八条の規定の第三者異議の訴えを提起し、同条四項の執行停止の申し立てをすることにより、管理組合の預金が取り立てられてしまうのを防止することができます。
編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
1999年10月掲載