私のマンションには外部の車が頻繁に止まっており大変迷惑しております。
剥がれにくい張り紙をフロントガラスに張るなどの対策を考えていますが、器物破損で逆に賠償しなければいけなくなるという人もいるようです。本当でしょうか。
刑法によれば、器物損壊罪として「他人のものを損壊したものは3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する」と規定し、本問の「器物破損」はこの罪に問われるかどうかが問題になります。刑法でいう「損壊」とは器物そのものに力を加えて破壊するという場合だけでなく、形をかえないまでも器物そのものの機能を損なわせる場合も含みます。
フロントガラスには、雨、風、塵芥などを防ぎながら運転手の視界を確保するという機能がありますが、極端に剥がれない紙を張るのは視界を確保するという機能を損なわせると考えられ、罪に問われる可能性もあります。
本来、フロントガラスに張り紙をする目的は、無断駐車に対して警告することです。剥がれにくくして懲罰や制裁的な意味を与えたいという気持ちもわかりますが、それを目的にすることには問題があります。
このような視点から無断駐車防止の一つの手段として、この方策を用いる場合は、管理組合が次の点に注意して行う必要があります。
まず充分な告知が必要です。予め駐車禁止場所に、このような措置をする旨の掲示をしておきましょう。逆恨みによる報復行動を防ぐ意味でも大切です。
張り紙を張る場合、傷つきやすいボディは避けガラス部分にすべきです。さらに張り方やその強度については、特殊なのりを使用して、剥がれにくくすることは問題がありますが、風で簡単に飛ぶようであれば警告としての意味をなしませんから、常識的な範囲で雨風で剥がされないような張り方は許容できるのではないでしょうか。
編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
2001年4月掲載(2025年2月更新)
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