組合員から衛星放送を受信したいという声があがっています。管理組合としてはどのように対応すべきでしょうか。
衛星放送を受信するためには個別アンテナをベランダに設置するのが一番簡単な方法です。
しかし個別アンテナは取付場所によっては火災の際の消火活動や避難の障害となる可能性があります。それに本来、ベランダは共用部分ですから、勝手にアンテナなどを設置してはいけないことになっています。その他、北側の住戸は受信できない場合があるなどの問題が生じることも考えられます。
そこで、最もよい方法として、マンションに共同受信設備を設置することがあげられます。これは共用部分である屋根や外壁に共同受信アンテナを設置し、同軸ケーブルの取替え工事を行いますから、共用部分の改良工事ということで、総会の決議が必要になります。
本問は衛星放送ですが、新しく普及したサービスを区分所有者が享受したいと望むのは当然であり、機能を時代に合ったものにすることは、マンションのグレードアップにつながるといえます(ただし、マンションによっては構造的に導入が困難な場合があります)。
総会での決議は規約に別段の定めがない限り、共用部分の軽微な変更として普通決議(区分所有者および議決権の各過半数)で十分でしょう。
なお、共同受信設備設置までの間、個別アンテナの設置が広まりそうなときは、個別アンテナについて組合としての許可基準、手続などを定めて、混乱が起きないよう対応することが必要です。
編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
1994年7月掲載(2025年2月更新)
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