マンション管理に関する法律トラブル相談室その他


各戸の玄関扉の合鍵の作製について

火災やガス漏れなどの非常時に備えて、管理組合で各戸の玄関扉の合鍵を作製したいと思っています。区分所有法には「共用部分の管理に関する事項は集会で決する」(第18条)との定めがあるのですが、総会の通常決議で決定してよいでしょうか。

各戸の玄関扉については、マンション標準管理規約第7条では扉本体は共用部分とし、錠および内部塗装部分を専有部分とされています。火災などの非常時には、専有部分または専用使用部分に立入る必要が生ずる場合もあるかと思われますが、このような場合、窓ガラスを壊すなどして専有部分に入ればよいわけで、本人の同意なく、いまだ生起していない非常時に備えて、各戸の玄関扉の合鍵を預かる権限は誰にもありません。
 このため、各戸の玄関扉の合鍵を作製することを総会の決議(多数決)で決定することには無理があるようです。専有部分に、非常時とはいえ他人が出入りすることを承認するか否かは個人個人の問題です。
 また仮に、区分所有者が全員一致で玄関扉の合鍵の作製に同意したとしても、マンションの転売などで新たに区分所有者となった人に対して、そのつど同意を得る必要が生じますし、鍵は入居者の問題ですので、区分所有者(オーナー)の団体である管理組合の総会で決定すること自体、疑問があります。
 また、各戸の玄関扉の合鍵の運用上、万一事故が起こった場合の責任は、すべて管理組合が負うことになります。ちなみに、最近分譲されているマンションでは各戸の玄関扉の合鍵は作製されていないようです。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1997年11月掲載(2025年2月更新)

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