理事長(管理者)をしています。管理費等の滞納者に対して訴訟を起こし、勝訴判決を得ましたが、いまだに滞納管理費等が支払われず、さらに訴訟後に新たに発生した管理費等も納入されません。再度訴訟を提起することは可能ですか。
過去の訴訟後に新たに発生した滞納については、改めて訴訟を提起することは可能ですが、すでに判決を得ている滞納額が支払われないことを理由に再度提訴することはできません。
本問のように、判決後も滞納管理費が支払われないときには、管理組合は勝訴判決(債務名義)に基づいて裁判所に強制執行を申し立てることで、滞納者の次のような財産を差し押さえることが可能です。
- ①銀行口座の差し押さえ
- ②家賃収入の差し押さえ
- ③給与所得の差し押さえ
- ④不動産の差し押さえ
滞納者の所有する銀行口座や、家賃収入の有無、給与所得については、これらに関する滞納者の情報が得られれば差し押さえの申し立ては問題なく受理されますが、不動産の差し押さえは、抵当権設定や税金の滞納などがある場合には申し立てることができない場合もあります。これは、差し押さえという行為は、債権回収の目的のために設けられた制度であり、管理費等の債権に優先される抵当権や税金滞納がある場合には、管理組合が差し押さえを行う目的が果たせない場合があるからです。
前述の強制執行のいずれも行えない場合には、総会の決議に基づいて、共同の利益違反者に対する措置として、滞納者が所有する区分の競売を申し立てることが可能です(区分所有法第59条)。
いずれにしても、滞納額の増大化や滞納期間の長期化は、管理組合にとって手続きが煩雑となるばかりでなく、マンション全体の資産価値にも悪影響を及ぼしかねません。事態が複雑または深刻化する前に、早めの対応をとることが大切です。
編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
2010年11月掲載