私の住んでいるマンションで総会があり、議案になかった駐車場の工事について、緊急に提案がなされ、現に出席された方々だけの賛成多数で承認されました。私は総会に出席できなかったので、他の議案には賛成で議決権行使書を提出していたのですが、議案になかったこの工事については反対です。この決議は有効なのでしょうか?
集会(総会)の招集手続として、区分所有法第35条第1項において、「集会の招集の通知は、会日より少なくとも1週間前に、会議の目的たる事項を示して、各区分所有者に発しなければならない」と定められており、事前に①会議の日時②会議の場所③会議の目的(議案)を通知しなければなりません。
また、区分所有法第37条第1項において、「集会においては、第35条の規定によりあらかじめ通知した事項についてのみ、決議をすることができる」と定められています。
つまり、事前に通知することにより各区分所有者は各議案について、十分に検討した上で集会に臨むことができます。しかし、事前に通知されていないと十分な討議ができませんし、集会に出席できない区分所有者は議決権行使書により議決権を行使できませんし、出席して意見を述べることによって、決議が否決されることもありますので、事前に通知されていない議案については、決議することができないのです。
それゆえ、事前に通知した議案以外の決議は、賛成多数であっても、基本的には決議の効力がないことになります。
ところで、建物の管理を円滑に行うためには、集会においては、柔軟かつ迅速に決議する必要もあり、特別決議を除く普通決議については、あらかじめ通知していない事項であっても決議ができるように規約で別段の定めをすることができます(区分所有法第37条第2項)。
しかし実際には、無制限に通知していない事項を決議するというのは、問題があると思いますので、「現出席者の議決権のみで定足数を満たしている場合に」という議決要件に限って、かつ、「あらかじめ通知され議決された議案に関する事項(例えば、実施方法や細則の制定)」や「緊急を要する事項(保存行為)」という議決事項に制限をもうけて、決議できるとすることが望ましいと思います。
以上のことから、本問決議の効力は、駐車場の工事がどのような工事であるのか明らかではありませんが、原則として無効といえます。しかし、「緊急に提案された」とあり、雨漏りやひび割れなどの緊急な事態(保存行為を要する事態)があったようにも思われ、このような場合には、規約に定めがある場合もありますので、規約を確認してみてください。
編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
2003年9月掲載
マンション管理、ビル・施設管理、
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