民法改正による売主の瑕疵担保責任についての変更点について教えてください。
最も大きな変更点は、売主の「瑕疵担保責任」の規定が大幅に見直され、「瑕疵」という文言が使われず、「契約の内容に適合しない」(以下「契約不適合責任」という)という文言に変わったことです。
そして、契約不適合責任を債務不履行責任と位置付けることによって、責任範囲や買主の対抗措置の拡大、手続きの簡略化が図られています。主な変更点は下表のとおりです。
これまで買主には契約解除と損害賠償請求のみが認められていましたが、改正民法では「追完請求(民法第562条)」と「代金減額請求(民法第563条)」が可能となりました。瑕疵を修理し補うこと、代替物を引渡すこと、不足分を引渡すことを請求できるようになり、また、これらが売主によって為されない場合には、催告して代金の減額を求めることもできるようになっています。
旧民法では、瑕疵を理由とした損害賠償請求および契約解除要求の権利行使は、買主がその事実を知ってから1年以内に行う必要がありました。民法改正以降は、種類又は品質に関する契約不適合を理由とする権利行使は、買主が契約不適合を知った時から1年以内に通知する必要がありますが、数量や移転した権利に関する契約不適合を理由とする権利行使については期間制限が設けられていません。この点は買主の権利と、売主の負担のバランスを図った改定となっています。
編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
2020年11月掲載