マンションの一室を利用した民泊の営業が行われた場合、どんなトラブルが想定されますか。また、民泊の営業をされたくない場合どうすれば良いでしょうか。
マンション内で民泊の営業が行われることによりさまざまなトラブルが起こるリスクがありますが、中でも、日本語が通じない、または、日本の慣習を理解していない外国人利用者によるトラブルが想定されます。よくある事例としては、ベランダなどの場所で昼夜問わず騒ぐなどの騒音トラブル、エントランスやマンション周辺でたむろすることにより、見慣れない外国人が生活環境に入っていることに不安を覚え、居住者の平穏が脅かされるといったトラブルが挙げられます。
また、ゴミ捨てのルールを把握していない場合、ルールに沿わないゴミの廃棄がなされることにより、マンションの美観が損なわれる等のトラブルが起こる恐れがあります。
民泊紹介サイトにて、ゲストルーム・バーベキュースペース等の共用スペースが利用可能であると紹介されていれば、これらの施設が占拠され、本来利用すべき居住者が利用できなくなる恐れもあります。民泊利用者はマンションの居住者とは異なり、マンションで長く暮らしていくわけではないので、施設が乱暴に使われることも考えられます。
さらに、万が一これらのトラブルが発生したとき、相手が日本語の通じない外国人である場合、注意を聞き入れさせることができない、または、上手くコミュニケーションが図れないことにより揉め事に発展する等、二次被害が発生するリスクもあります。
このようなトラブルを懸念し、自らのマンション内で民泊営業を行わせないためには、管理規約を改定することで民泊業者が入り込まないように対策をとる方法があります。
住宅宿泊事業の届出書には【規約に住宅宿泊事業を営むことを禁止する旨の定めがない】ことを確認する項目がありますので、民泊業者が入居する前にあらかじめマンション管理規約を改定して民泊禁止の旨を定めておくことで、民泊事業の防止を図ることができます。ただし、民泊事業の許可を持たずに民泊事業を行う、いわゆる「ヤミ民泊業者」に対しては、管理規約改定だけでは十分な対策とはいえません。
自らのマンションが民泊禁止マンションであることを広く居住者が認識し、認められていない民泊がマンション内で行われていないか居住者が気にかけていくことも、民泊に関するトラブルを防止するために必要となるでしょう。
編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
2019年3月掲載